一香の雑説

一香の趣味、考察、脚本等闇鍋ルーム

〜Stage making〜 照明基礎編

まず‥‥‥照明ってなにすんの?

教本読んでもイマイチ‥‥‥

これが大きいと思います。もちろん、“舞台を明るくして、見やすくする“

正解です!

でもね、照明ってそれだけじゃないの。言ってしまうと、舞台の質を盛り上げることだってできるし、逆に壊すことだってできてしまうの。

こわいねw

基本的に人間は光を依り代に物を認知するわけですが、人間の視界からの情報って、私たちが取り込んでいる情報の8割を占めているんです!ということは、ただ単に見える見えないだけの問題じゃなくて、舞台の様子や、時間、季節、はたまたシチュエーションまでもをかえてしまうんです。晴れてるーとか悲しいシーンだーとかね。

つまり、総合芸術たる舞台において馬鹿みたいに大事なの。(当たり前かw)。

 

それを踏まえていってみようか!

 

1 照明器具の種類

最初の壁は、どれがどれだかを認識することなんだよね。というわけで一覧(どの劇場にもある基本的なのをあげます)

 

 

-調光卓-

照明を操る頭脳です!照明さんはここから操作します。こーゆーの

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手動はもちろん、指示を入れれば自動操作もできたりするんです。大概は舞台の対角線上の上方、客席の一番後ろにあるんですが、舞台の近くにあったりと、劇場によっていろいろです。

 

-サスペンションライト(地明かり)-

舞台真上、バトンという吊り下げ器具にくっついてるやつです。横一列、凹凸レンズが並んでおり、大概2本あります。丸い円状に照射され、主に地明かり(全体を明るくする、つまり太陽みたいな役割)を担当します。

一方、明かりのサイズの変更も可能で、スポットライトにもできます。劇場によっては、スポットライト専用のサスペンション(いわゆる単サス)があり、地明かりもスポットライトも両方使えちゃったりします!

 

-シーリングライト-

舞台前方、もしくは上方にある大きな照明。舞台全域を明るくします。地明かり(サスペンション)の補助にもなり、役者さんの顔が客席から見えやすくしたりもさせます。サスペンションをスポットライトにするときは、こちらを地明かりにします。照射方向の変更も可能ですが、時間を要するために、高校演劇程度ではそのまま使うのがメジャーです。

 

-フォローライト-

その名の通り補佐役です。舞台の上で暗いところが出たり、影が気になる‥‥‥なんて時に使える便利な照明です。場所は様々。

 

-フロントライト-

舞台から見て左右の上方にある、箱みたいなのが固まって並んでるやつです。その名の通り、舞台を正面から照らします。役者さんの顔の影を取り払ったり、血色よくさせるのが目的です。また、フィルムを入れることで、光の色を変更可能です。

 

-サイドスポット(ss)-

舞台上のひきわり幕(カーテンみたいにして舞台を区切るやつ)の後ろに配置されている照明です。舞台を横から照らすことで、役者さんの顔の影を取り払ったり、路地裏なんかの表現にも使えます。左右にあります。

 

-ぶっちがい-

サイドスポットに似ているのですが、これも同じく舞台を左右から照らします。ぶっちがいというのは、光が交差する(打ち交う)うちたがう、から来ている言葉です。光がクロスする事で、ミュージカルのような雰囲気が出て、舞台上でも目を惹かせますよ。

 

-ボーダーライト-

これも全体を明るくする役割があるんですが、あまり演劇では使わない印象。作業灯って感じです。

 

-泉あて-

演劇では使わないかなって感じの照明。演奏会とかで、司会さんが出てきた時に、司会台を照らすようなやつです。

 

-ピンスポットライト-

よく見る追跡ライト。可動式で、実際に動かしながら使います。アクティブな印象なので、動きを出したい時などに使うと良い。

 

-ホリゾント-

アッパー(上)アンダー(下)があり、舞台の一番奥(後ろ)の幕を照らします。色がつけられるので、空や時間の表現が可能になり、舞台に幅と立体感を持たせられます。これの使いかたが上手だと、本当に迫力がありますよ!

 

 

2 舞台の構成

ここまできたら、舞台の構成です。何事もそうですが、無計画ではどんなに素晴らしい劇でもご破算です。ここでは、舞台の構成方法、共有に焦点を当てます。

 

➀使う照明を決める

 台本が決まったら次に大道具の配置、キャストの立ち回り、使用する照明を決定します。ここで大事なのは、全く同じ舞台構想が、団員全員で共有できていること。これが案外できていないんですよね。照射したスポットから50センチズレただけで印象はガクッとかわってしまうので、よくよく確認してください。

 

➁照明仕込み図を描く

使う照明が決まったら、それらの配置を図にします。これは、公演前の箱付きさんとのコミュニケーションや連携に加え、団員との照明イメージの共有にも役立ちます。

まず、箱付きさんとの打ち合わせ前に舞台の略図みたいなのが渡されたと思うんですが、あれに仕込み図を書きます。f:id:yixiangj11:20181127233944j:image

おおよその配置位置にそれぞれ照明器具ごとの記号を書いていきます。方向、フィルターの色とかも書いておくといいです。そこまで堅っ苦しくなくていいので、記号がわからなかったら説明書きでも入れておけばオッケーです。

 

ゲネプロ、仕込み

いわゆるリハーサル。ここで実際に照明をいじって最終確認をします。舞台の色味や明るさ、見え方などをよく確認してください。特にホリゾントの色は気を引き締めて。また、いざリハーサルが始まると思いのほか混乱するものなので、リハーサルのリハーサルも案外大事です。まぁそれはキャストさんも音響さんも一緒ですけどねw

 

➃いざ、本番へ

さて、ここまできたら、あとはやり切るだけ…ならいいのですが、そうもいかないのが世の常。本番になるとトチってしまったり、キャストが台本ど忘れしたりとアドリブ力も問われます。でも大丈夫。しっかり準備したのならきっとやりきれます。キャストに合わせるのではなく、彼らを導くような気持ちで取り組んでください。消し忘れとか、うっかりなんてものは普通のことです。きにしなくていいんですw頑張って!

 

➄終わったら

片付けを速やかに。しっかりと挨拶をしてから会場を去りましょう。いろいろ悔やまれることがあるとは思いますが、それも経験。楽しければいいんです。だって芸術なんだから♪

 

 

 

……はい!ざっとこんな感じです。これはあくまで大組み、美しさの探求はまだまだ続きますが、これが抑えられていれば幕はおろせます。拙著で申し訳ないですが、参考になると嬉しいです。

 

今後はキャスト、音響、舞台監督&美術の基礎を上げつつ、それぞれのスキルや細かい解説もしようと思います。お付き合い頂き、ありがとうございました。